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新居浜暮らしブログ

2019.08.01

まち

この記事の「ええね!」

にいはまむかし話

【OB】髙橋 尚毅

むかし、むかし、新居浜のお山に一匹の子供たぬきがすんでました。
なまえはぽん太郎。
ぽん太郎は子供なのにとても働き者で、山に登れば銅を掘り、村に降りては畑を耕していました。
村の子供たちともとても仲良しでした。
ある日、人間の友達のなおきちが言いました。
「なあ、ぽん太郎。今日お前のうちに遊びに行っていいか?」
「もちろんさ。なおきちくん。山の奥だけどね」
「弟のひろべえも連れてってええか?」
「もちろんだとも」

三人は仲良く山道を歩いていきました。
ぽん太郎のおうちはほら穴の中でした。
「やあ、変な家だなぁ」なおきちは大笑いしました。
ひろべえもケラケラと笑いました。
「変かなぁ?まあ、ゆっくりしていきなよ。お母さんの料理はとても美味しいんだよ」

「ぽん太郎や、お友達かい?」
ほら穴の奥でお母さんの声がしました。
「うん。なおきちくんとひろべえが遊びにきてくれたんだよ」
「え⁉それは人間かい?それじゃ、私はそっちに行けないねぇ。ご飯作ってあげるからぽん太郎や、取りにきておくれ」
「うん。わかったよ」

「どうしてお母さんはこっちに来ないんだい?」なおきちは不思議そうに聞きました。
「うん。ちょっとね。君たちを驚かしちゃいけないからさ」ぽん太郎はご馳走を運びながらそう答えました。
「ふーん…」

「ぽん太郎や、川で水を汲んできておくれ」ほら穴の奥でお母さんがそう言いました。
「はーい!」ぽん太郎は大きな声で返事をして大きなおけを持ってきました。
「なおきちくん、少し待っててくれる?山のおいしいお水を汲んでくるから。奥の方には行かないでね」ぽん太郎はそう言うと川に走って行きました。

ぽん太郎がほら穴から出ていくのを見ると、なおきちはそーっと立ち上がりました。
『ぽん太郎のお母さん、見ちゃいけないって…なんでだろう…?』
なおきちとひろべえは、しのびあしでほら穴の奥に歩いて行きました。

「ぽん太郎や、水を汲んできてくれたのかい?」
足音に気づいたお母さんは、なおきちの方を振り返りました。
その姿は…
「うわあっ!!大蛇だあ!!」

ぽん太郎のお母さんは金色の大きな蛇だったのです。
「あっ!なおきち君!」
お母さんは驚き、長い首をにゅーっと立ち上げました。
「うわあ!食べられるー」
なおきちは泣き叫びながらほら穴の出口に向かって走りました。

その時です。
ぐらぐらと大地が揺れ大きな地震がおこりました。
「うわあーーーっ!」
なおきちが洞窟を飛び出すと同時に大きな岩が落ちてきて、洞窟はすっかり岩に埋まってしまいました。

「あっ!なおきち君、大丈夫だったかい?」
ぽん太郎が水を汲んで帰ってきました。
「蛇が!大きな蛇が!」
「え?お母さんを見たのかい?お母さんはまさかまだ洞窟の中⁉」
「あっ!ひろべえもいない!」
お母さんとひろべえは洞窟の中に閉じ込められてしまいました。

「せーのっ!」
ふたりは力を合わせて大きな岩を持ち上げようとしました。
しかし、大きな岩はびくともしません。
「せーのっ!」
ふたりはもっと力を入れましたが、やっぱりびくともしませんでした。
「おーい、おーい、ひろべえ!大丈夫かあ?」
返事はありません。
「おーい、おーい、お母さん!大丈夫?」
やっぱり返事はありません。
「子供の力じゃだめだ…」
「うん。村へ降りて大人たちを呼んでこよう」
二人は走って村へと向かいました。

「なあ、ぽん太郎。なんでお前のお母さんは蛇なんだい?」
「わからないんだけどさ、山のたぬきの長老さまが言うには、僕はお山神社の境内でお母さんに抱かれてたんだって。それからずっとご飯を作ってくれてて、村人たちを助けてやりなさいって教えてくれたのも全部お母さんなんだ」
「そうだったのか…なあ、ぽん太郎…お前のお母さん、ひろべえ食べちまわないかな?」
「あはははは。そんなことするもんか。お母さんといれば大丈夫だよ。お母さんはとっても優しくて強いんだ。僕が小さい頃から僕を突っつく意地悪な鳥をいつも追い払ってくれた。だから僕は鳥だけは苦手なんだけど…そんなことどうでもいいや。とにかく急がなくっちゃ」

「父ちゃん!ひろべえが洞窟に閉じ込められたんだ!急いで助けなきゃ!」
村に着いたなおきちはお父さんにことの起こりを説明しました。
「何だと、そりゃ大変だ!みんな集まってくれ!」
なおきちのお父さんはやぐらに上がり鐘を打ち鳴らすと村人たちが200人も集まってきました。
「私も行くよ!」なおきちのお母さんが言いました。
「女は邪魔だ!お前らはわしらが帰る時までにうどんでも温めておいてくれ」とお父さんは言って山にみんなで走って行きました。

洞窟の前に着きました。
「こりゃ、大きな岩じゃ。よっしゃ、みんなで持ち上げるぞ!」
「せーのっ!」
「せーのっ!」
しかし、大人たちの力でも大きな岩はびくともしませんでした。
「せーのっ!」
「せーのっ!」
岩はびくともしません。

「ポン、ポン、ポン」
その時、どこからか太鼓の音が聞こえてきました。
ぽん太郎です。
ぽん太郎は大きな岩のてっぺんに上がり自分のお腹を打ち鳴らしました。
「みんなー!僕の太鼓に合わせてみてよ!ポン、ポン、ポン!」
「よっしゃー!みんな合わすぞー!」
「おーっ!!」
「そーっりゃ、えんやえんや、よいやさのさっさ!そーっりゃ、えんやえんや、よいやさのさっさ!」
誰が言い出したか自然に掛け声が揃いました。
ぽん太郎の太鼓の音は激しさを増してきました!
「ドン、デン、ドン!ドン、デン、ドン‼」
「そーりゃ、えんやえんや、よいやさっのさっさ!そーりゃ、えんやえんや、よいやさのさっさ!」
何とあの大きな岩が持ち上がりました!

「みんな合わせて!」
ぽん太郎は岩から飛び降り太鼓をゆっくり叩きました。
「ちょーさじゃーっ!」
村人たちは大きな岩をゆっくりと川に運び、投げ捨てました。
「やったー!」
みんなは洞窟の中に入っていきました。
中にもたくさんの岩が落ちていました。
「ひろべえー!!」
なおきちは大きな声で呼びました。

「大丈夫ですよ…」
ぽん太郎のお母さんの声です。
村の長老はその姿を見て驚きました。
「り…龍神さまじゃ…」
ぽん太郎のお母さんは蛇ではなくて大きな龍だったのです。

傷だらけのお母さんがとぐろをほどくと、お母さんのからだの内側にはひろべえがすやすやと眠っていました。
「ひろべえ…よかった。お兄ちゃん、ほったらかしにして逃げてごめんな」なおきちは泣きながら言いました。
「うん?何のこと?僕は龍神さまに乗って飛んでる夢をずっと見てたよ」とひろべえは言いました。
「それからぽん太郎のお母さん。驚いてごめんなさい。まさか龍神さまだったなんて…」となおきちはあやまりました。
「いいんですよ…驚くのはしかたがないこと。けど、人間に姿を見られた私はもう天に帰らなくてはいけません」
「お母さん!嫌だ!僕も行くよ!」ぽん太郎は泣きながら言いました。
「大丈夫ですよ。ぽん太郎。私はずっとあなたの中にいます。天に帰るのはからだだけだから」
「それでも嫌だ!」
「ぽん太郎…あなたに私の不老不死の力を授けます。これからもずっと新居浜の人たちの力になって、仲良く力を合わせて行くんですよ…」
「お母さん‼」
そう言うとお母さんの金色のからだはさらに眩しく輝き、ぽん太郎のからだに巻きつきました。
「ぽん太郎、愛してます」
そして、天に向かって金色の筋を残し消えてしまいました。

村人たちは口をポカンと開けたままです。
「あれ?ぽん太郎?」
ぽん太郎の耳には房が生え、お腹の太鼓はさらに分厚く立派になってました。

『ぽん太郎や、困った時や、みんなで力を合わす時はその太鼓を叩きなさい』
天からお母さんの声が聞こえました。

今日は10月18日…
ぽん太郎のお祭りです。
龍神さまのお祭りです。
みんなで力を合わすことを喜び合えるお祭りです。
『ドン、デン、ドン‼』
ぽん太郎のお腹の大きな太鼓の音が聞こえます。

さらに月日が流れ西暦2013年1月27日…ぽん太郎が新居浜のシンボルに選ばれましたとさ。

おしまい。

(あ、まちゅりは女の子か?まあいいや(笑))
本当におしまい。
(このお話は全て創作です)

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