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市民インタビュー

歴史ある大島の祭礼を後世へつなぐ

大島八幡神社 宮司   矢野 秀綱(やの ひでつな)さん

新居浜・大島。1月の「とうどおくり」、8月の「夏祭り」、そして10月の「大島八幡神社秋季大祭」と年3回の祭りが開催される。中でも10月の大島八幡神社秋季大祭は、江戸時代から変わらない形で今も継承され続けている。しかし歴史はあれど過疎化の進む大島では、継承が危ぶまれる。貴重なこの伝統を未来へ残そうと尽力する大島八幡神社の矢野宮司に話を聞いた。
ちょうちんの明かりが夜の大島を照らし、伊勢音頭に合わせて島内を練り歩く幻想的な宮出し。西条まつり『だんじり』のルーツともいわれる『夜宮』が今も残る大島八幡神社秋季大祭。人口減少が急速に進む大島では例年3台の夜宮が奉納されるが、コロナの影響もあり2023年は1台のみの奉納となった。「このままでは歴史ある祭りの継承が危ぶまれる」と、市内の青年団に協力を仰ぎ、昨年は3台の夜宮が奉納された。
3台の夜宮(上之町・中之町・西之町)

夜宮とともに、活気ある伊勢音頭の歌声に包まれていた昭和中期。前夜の宮出しでは御霊移しの儀式のために肩自慢の担ぎ手たちが集まり、127段もの石段を登って、すべての夜宮を大島八幡神社本殿に奉納した。御霊移しが終わると、神輿の露払いである鬼も登場する。あまりの怖さに子どもが泣いて、山の中に逃げ隠れてしまうほど気迫のある鬼も存在していた。
夜宮(中之町・上之町)大島の路地を練り歩く

御霊移し後は、神輿を先頭に舟だんじりなど6台が船に乗る舟御幸。「美しい光景だった」と振り返る。

しかし、それも60年以上も前の話。「人口減少と島民の高齢化に歯止めが効かない中で、かつての伝統を維持し続けることは難しくなっている」と矢野宮司。近年は夜宮が石段を登ることはなく、本殿の石段下広場で神事を執り行い、鬼は優しくフレンドリーになった。「今のカタチはそれはそれでいいのだけれど、昭和の時代の厳かで感動的な祭りも復活させたい」とも話す。
露払いの「鬼」

そんな中、変化したものもある。それが『御霊移し』だ。昔は石段を登った本殿で行われ、誰も見ることができなかった。現在は白布に包まれた御霊を宮司が持って石段を下り御霊移しを行っている。誰でも目の前で見られる神事は、全国的に見ても珍しい。さらに数年前までは島民中心の祭りだったが、現在は島外からの参加者の積極的な受け入れによって、島外との繋がりを感じられる機会のひとつになっている。
船御幸

現在、島内の住民は約80人。商店や産業もなくなってしまった大島は、人口の3割近くが80歳を超えた。週2回の移動スーパーに頼る生活をしているお年寄りも多い。そんな島暮らしの中で、担ぎ手や見物客として毎年たくさんの人が集まれば、島民にとっても嬉しいもの。

「いつかまた、夜宮が127段の石段を登れるほどに担ぎ手が集まり、伝統的な祭りが戻ってくれる日を待ち望んでいる。また、たくさんの方に大島に来ていただいて、賑やかな祭りとなれば神様も地域の方々も喜びます」と矢野宮司。

大島の貴重な文化を後世に継承できることを願いたい。

■大島八幡宮祭礼 祭礼日 毎年10月 第2土曜日・日曜日

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