市民インタビュー
子どもの感じるまま!楽しめる環境作りを
おもちゃコーディネーター・ベビーシッター 神野 美佳 (じんの みか / 新居浜市)さん
時代とともに変化する教育環境や家庭環境により「子どもたちの遊び方や考え方も変わってきている」と感じていた、保育士歴13年の神野美佳さん。親子広場やシッター業など、時代に合った保育を模索、来年4月から新しい『保育のカタチ』をスタートさせる。神野さんの考える『保育』とは。
「子どもたちの『嬉しい』『楽しい』『大好き』をもっと増やしたい」と奮闘する神野さん。保育士として働く中で、教育環境や家庭環境の変化に伴い「子どもたちの考え方や遊び方にも、大きな変化が生じている」と感じていた。子どもたちだけで解決していた問題に大人が介入したり、遊ぶ前に親の了解を得るようになったり…。純粋に『自分が思うままに遊ぶ』ということができなくなってきていることに、不安も感じ始めていた。
神野さん自身も、3人の子どもを持つ子育てママ。自由気ままで言うことを聞いてくれない子どもたちを、つい叱りすぎてしまう。自分の理想とする母親像とはかけ離れた子育て生活に、精神的に病んでしまった時期も経験した。そんな中で気づいたことが「なぜ子どもはこう考えるのか、このような行動をするのか、子ども目線に立って考える」ことだった。子どもも悪さをしたくて行動しているわけではない。すべてに理由がある。そう考え始めたことで、自然と母親としての考えを子どもに押し付けることがなくなり、叱ることも減っていった。そんな自身の経験から、大人の考えを伝える保育ではなく『子どもの考えや想いを活かす保育ができる環境を作りたい』と一念
発起。約2年前に保育園を退職、自分の理想とする保育環境作りを始めた。
今年5月に『親子ひろば・預かり型あそび場 ここねっと』を立ち上げた。「今日はこれで遊びましょう」という決めごとは、ほとんどない。子どもたちが自分で楽しいと感じた遊びやおもちゃを選び、遊びながら学んだり、友だちを増やしていったり…。子どもの『心』を育てることを一番に考えた保育方針を掲げた。パパ、ママも参加する親子ひろばでは、子どもだけでなく、親の変化もあるという。木のおもちゃで遊んでいる子どもに対して「このおもちゃはこうして遊ぶんだよ」と教えているお母さん。しかし、うまく遊べない子どもを見て、不安になって注意している。
そんな光景を見て、神野さんは「何度も繰り返し遊んでいくうちに、できるようになってくる。今は見守って、できた時にたくさん褒めてあげましょう」とアドバイス。そうするとたちまち子どもはさまざまな遊び方を覚え、母親も視点を変えることで、子どもに注意することが減り、「イライラしなくなった」と喜びの声もあった。大人が『できないこと』ではなく『できること』に目を向けて見守ることで、子どもの発想力や行動力、そしてコミュニケーション能力は大きく変化する。
神野さんは「子どもの『心』を育むには、幼少期に評価しないこと、育つ力を信じて見守り、秩序のある自由の中で安心して過ごせる環境を用意すること」と話す。大人が少し視点を変えるだけで、子どもはグンと成長する。そんな『ここねっと』の活動も少しずつ広がり、来年4月には保育園もスタート。まだまだ準備中だが、より充実した設備環境を整えるため、12月よりクラウドファンディングにも挑戦。子どもたちが、今まで以上にのびのび過ごせる環境作りは、着々と進んでいる。
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フリーペーパーHoo-JA! 2024年11月23日号 掲載