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市民インタビュー

新居浜初の「クラフトビール」が誕生

クラフトビール職人   岡本 優一(おかもと ゆういち)さん

新居浜市で60年以上にわたり柑橘類の加工を行う愛媛果汁食品から、2023年夏、市内初のクラフトビールが誕生した。はだか麦や白いも、柚子を使った爽やかな味わいの『ヒメビール』。開発した岡本優一さんは元パン職人。クラフトビール作り初心者だった岡本さんが、ヒメビールを完成させるまで、そしてビールを通して挑む『新居浜の街づくり』。

『工芸品』を意味するクラフト。クラフトビールとは、小さな醸造所で比較的短期間で作られる、いわゆる『地ビール』だ。ピルスナー、シュバルツなど100種類以上あるといわれるビールのうち、大手メーカーで作られているのは3〜4種類程度。そんな中、色味や口当たり、風味などに多様性があり職人のオリジナリティが光るのが『クラフトビール』の魅力だ。

そんなクラフトビールが今夏、新居浜市で誕生した。その名も『ヒメビール』。製造元の愛媛果汁食品は市内の自社工場で柑橘類の選果・搾汁・加工などを行う、創業60年の老舗食品メーカー。未知のクラフトビール事業に挑むきっかけとなったのは、同社社長の「何か楽しいことをやろう」の一言。社長が大のビール好きであったことと、『新居浜に人を呼ぶきっかけを作りたい』という思いが重なり、クラフトビールにたどり着いた。

「クラフトビールについては、ほぼ素人。そもそも、ビール自体もそんなに得意ではなかったんです」と語る、開発者の岡本優一さん。前職はパン職人。高校卒業後、北海道などのパン屋で15年働いた後、3年前に愛媛果汁に入社、パンやお菓子作りに携わっていた。クラフトビール事業の立ち上げをきっかけに、パンと同じ酵母を使う発酵品であることと、ものづくりへの熱意を買われ、クラフトビールの開発者に抜擢された。

「まず、いろんなクラフトビールを飲んでみるところから始めました。全国から取り寄せたり、お店で買い集めたり。そして、唯一名前を知っていたクラフトビールの醸造所に、いきなり電話して修行を申し込んだんです」
醸造所からは『そんな問い合わせは初めて』と驚かれたものの、修行を受け入れてもらい、醸造所のある長野で2カ月間、一からクラフトビール作りを学んだ。

「修行は思っていたよりも楽しかった。試飲用のビールをいくつも用意してくれたり、官能評価に立ち合わせてもらったりと、いろんな経験をさせてもらいました」

岡本さんの修行中、新居浜では醸造所の設備工事を同時進行。その後、酒類の醸造免許を取得し、6月下旬、いよいよクラフトビール作りがスタート。

「設備はほとんどが海外製。扱い方をマスターするのにかなり苦労しました(笑)」

地元の名産品が使われることが多いのもクラフトビールの特徴。『新居浜から全国へ広げていきたい』そんな想いを込め、ヒメビールには大島の白いもと、愛媛果汁食品で最も多く取り扱っている柚子を使用。ビールが苦手な人や女性でも飲みやすい、爽やかでフルーティーな味わいに仕上がった。

また、クラフトビールを通じた街づくりも、掲げる目標の一つ。今後は工場の軒下を開放して、クラフトビールを美味しいおつまみと共に市民と楽しむ「青空パブ」の定期開催を目指している。

「クラフトビールは変わらない味を守るのではなく、どんどんアップデートさせていくもの」と岡本さん。自分自身が楽しみながら、より良いクラフトビールを作っていくことが夢だ。

最後に、岡本さんにヒメビールを美味しく飲む方法を伺った。

「飲み頃は10度〜13度。キンキンに冷えた状態よりも、冷蔵庫から出して少し置いた方が、風味や香りを良く感じられますよ」

10月上旬には、ホップやモルトの香りが豊かな『ペールエール』と呼ばれる種類のクラフトビールが新たに完成予定。食欲の秋、祭りの秋、ヒメビールと一緒に楽しもう。

 

県内価格 330ml 750円 (税抜)
ここくるにいはま、マイントピア別子等で販売中

 

 

 

 

 

フリーペーパーHoo-JA! 2023年9月23日号(Vol.458)掲載

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