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市民インタビュー

イギリス人との出会いから、翻訳本を出版

小説「ヤンの戦争」を翻訳 岡内 幸子 おかうち さちこ(写真左) 新居浜市在住 藤井 英子 ふじい ひでこ (写真中央) 新居浜市出身 村上 潤子 むらかみじゅんこ (写真右) 新居浜市在住さん

イギリス人 クライヴ・ハーヴェイ氏が第一次世界大戦を描いた小説『ヤンの戦争』。日本語翻訳をしたのが岡内さん、藤井さん、村上さんの3人。音楽などを通して国際交流活動をしてきた3人がイギリス人の小説を翻訳することになった理由とは…。

時代は第一次世界大戦。そこには私たちが知らない裏部隊があった。その名もCLC(中国人労働部隊)。イギリス軍に従軍した中国人たちはヨーロッパに派遣され、過酷な労働と戦争に巻き込まれていた。第一次世界大戦を学ぶ中で、この中国人労働部隊の存在を、私たち日本人は
ほとんど知らないのではないだろうか。そんな中国人労働部隊にスポットを当て、第一次世界大戦の時代背景を事実に基づいて描いた小説がイギリス人のクライヴ・ハーヴェイ作『ヤンの戦争』だ。

IME(インターナショナル・ミュージカル・エクスチェンジ)という、音楽を通して国際交流を行うグループで活動している3人。IMEに招待する外国人ミュージシャンのスカウトのため、イギリスを訪れたのが2009年のこと。いつも泊めてもらう藤井さんの友人宅を訪れたところ、なんと友人が不在。途方にくれていた時に、たまたま駅で声をかけてくれたのがクライヴ・ハーヴェイさんだった。クライヴさんはホテルの手配からタクシーの値段交渉までしてくれ、最後はホテルにたどり着いたか心配して、家族でホテルまで来てくれた。すべてはこの出会いから始まる。それからというもの、イギリスへ行くたびに会ったり、手紙を交換したりなど交流を続けた。
「本当に不思議なご縁」と笑う3人。

当時、法律家、フラメンコギタリストと幅広く活躍していたクライヴさん。2017年に会った時、「僕、初めて小説を書いたんだ」と紹介してくれたのが『ヤンの戦争』だった。第一次世界大戦を教科書とは違う角度で見る、今まで知られていなかった歴史を紐解く一冊。ノンフィクションだからこそ引き込まれる戦争のリアルさと同時に、人間の心情が温かく描かれる美しい物語に3人も魅了された。「友情の証に、私たちが日本語訳をするよ」と翻訳活動が始まった。

3人とも英語教師、塾講師と英語に関わる仕事にこれまで携わり、通訳や簡単な冊子の翻訳経験はある。しかし、出版物の日本語翻訳は初めての経験。さらに、専門的な軍事用語、1910年代という時代背景を、いかにリアルに、そして原作からかけ離れずに表現するか。日本語の表現や感性も人それぞれ。打ち合わせの度に、熱く討論を重ねてきた。

何度も何度も原作を読み返して、表現を考えて話し合う。時には1回の打ち合わせで1行しか進まないこともあったという。クライヴさんとも相談しながら、週1、2回の打ち合わせを重ねる。せっかく出版するのならば、「編集者の校閲を入れずに、最後まで自分たちで作り上げよう」と、表記の揺れや不適切な表現の有無まで3人で最終チェックを行った。
本の表紙画は岡内さんが一番印象に残ったラストシーンを自ら描き、4年の歳月をかけて、ようやく完成を迎えた。

原稿が完成し、出版社へ原稿を送るタイミングで始まった、ウクライナ侵攻。『ヤンの戦争』を通して、戦争という悲しい事実を痛感していた直後の出来事。「このニュースは本当に心が痛かった」という。

「戦争は繰り返すべきではないということをこの本を通して、伝えていきたい」と、最後に語ってくれた。

「ヤンの戦争」 東洋出版  792円(税込)
書店、amazon、楽天ブックスにて発売中
※アンティークショップ ザ・パンタイルズ(新居浜市泉池町)でも入手可

フリーペーパーHoo-JA! 2022年9月24日号掲載

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