市民インタビュー
私らしい「生の言葉」を届けたい
FM愛媛 アナウンサー 廣實 萌々花 ひろざね ももか (新居浜市出身)さん
幼い頃から喋ることや文章が大好きで、言葉に魅力を感じていたという廣實さん。喋るのが好きだと自覚したのは小学生の時。「放送委員になって初めてマイクの前で喋った時、面白い!と思いました」
小学校時代の経験から、新居浜西高校では放送部に入部。部員数が少なかったこともあり、校内放送、全国高校放送コンテストのオリジナルドラマ作り、運動会の設営や当日のアナウンスなどさまざまな活動を経験した。2、3年時にはアナウンスの全国大会にも出場。3年時に出場した大会では、団体で全国2位という好成績も収めた。
「でも、当時はマイクに乗せて喋るのが楽しくて好きだなという程度で、特にアナウンサーを目指していたわけではなかったんです」
廣實さんがもうひとつ熱中していたのが、4歳から習い始めたクラシックバレエ。
「実家の新居浜から今治の教室まで、毎回片道小一時間かけて母の車で通っていました。車内ではいつもFM愛媛のラジオが流れていて、その時流れていたラジオCMなんかは今でも口ずさめます」
幼少期から喋ること、そしてラジオが身近にあった。進学した東京の大学ではフランス文学を専攻し、文化や歴史などを通して多角的に言葉を学んだ。そして大学卒業後、出版業界へと進む。
「何人もの人を介して作られる出版物は、余計なものが削ぎ落とされ、とても綺麗にまとまっています。でもそれって逆に、その人だけのパーソナルな部分、個人的な言葉が見えにくいなぁとずっと思っていました」
そんな日々を過ごす中、偶然見つけたFM愛媛の採用募集に応募。今年5月、地元愛媛でアナウンサーとして新たなスタートを切った。
ラジオ業界で司会進行の意味で使われる『パーソナリティ』という言葉は、直訳すると『個性・人柄』。ラジオパーソナリティはまさに、人を介さず『自分の言葉』で伝える仕事。たくさんの人を介して洗練したものを届ける出版物とは、言葉の伝わり方も鮮度もまるで違う。
初めてパーソナリティを務めた「HAGIREプロジェクト」は、県内の捨てられる端切れ素材を再利用したアップサイクル商品と、その商品に込められた想いを紹介する番組(2023年10月末で終了)。
原稿を読むだけでなく、取材・原稿の執筆・編集に至るまでを廣實さん自身で行っている。語彙・表現・話し方から自分の全てが表れるラジオ。番組を通して、「生の言葉」を届けることの難しさも実感しているという。
「話すのは誰もが毎日やっていること。プロとして公共の電波で話す時、それをするだけの意義がなければいけないと日々思っています」
廣實さんがいつも胸に刻んでいる先輩からの言葉がある。
「『賢く見られようと思って喋ると、かっこ悪いよ』とよく言われるんです。元々文章を書く仕事をしていたので、どうしても簡潔に端的に、整えた文章で喋りたくなってしまうんですけど、それでは私らしさは出ない。平たい言葉で喋っても真の知性は伝わるので、そういうパーソナリティになりたいですね」
ラジオにはロマンがあると話す廣實さん。
「音だけしかない分、見えない部分を想像してもらえるのがラジオの魅力。そんな余白を楽しんでいただけるラジオを作りたい。それから、いつか大好きな本やアートの番組を持った時には、ぜひ聴いてください!」
まだまだ始まったばかりの廣實さんの挑戦。自然体でフラットな言葉を届ける廣實さんから、耳が離せない。
担当番組 : JOEUマンスリーパワープレイ、ニュース など
取材協力 : FM愛媛
フリーペーパーHoo-JA! 2023年11月25日号(Vol.462掲載)
今年5月からFM愛媛アナウンサーとして活動をスタートした、新居浜生まれの廣實さん。原稿読みはもちろん、取材から原稿執筆、編集、音出しなどのディレクター業務まで、携わる業務は多岐に渡る。幼い頃から喋ることが大好きで、FM愛媛を聴いて育ったという廣實さんのアナウンサーになるまでと、ラジオで届ける言葉の魅力。