市民インタビュー
「名作文学×マジック」で目が離せない劇場体験
マジシャン 黒川 遼 (くろかわ りょう)さん
新居浜市出身・在住のプロマジシャン、黒川遼さん。新居浜高専で奇術同好会を創設、マジックの世界へ。会社勤務などを経て「マジックを通した新しいビジネスモデルを作りたい」と、プロマジシャンへと転身した。現在、学校教育向けに作った劇場エンターテインメント「おとぎと魔法の劇場」を県内外の学校などで上演。そんな「おとぎと魔法の劇場」が、2025年8月10日にあかがねミュージアムで開演。小学1年生でも楽しめる「おとぎと魔法の劇場」の魅力とは。
黒川さんがプロマジシャンとして活動を始めて約6年。それまでは飲食店の経営やマーケティング会社に勤務していたが、次第に「大人の想像力」に疑問を抱き始めた。「仕事量が多いのも問題だが、想像力がもっとあれば、課題解決に繋がるのではないか。だからこそ、どんな業種にもエンターテインメント性が必要だ」と感じ、エンターテインメントの世界に足を踏み入れた。現に黒川さんは単なる観客を盛り上げるマジックの披露だけが仕事ではない。クライアントからの『来場客に待ち時間を飽きさせない演出を』『売上をあげたい』などの、あらゆる要望にマジックを組み合わせて提案し、新しいマジックビジネスを確立してきた。
そんな中、コロナが猛威をふるい、エンターテインメントの場は大きく縮小。数々の劇場や劇団が廃業していった2020年。しかし、当時プロマジシャンになって1年目の黒川さんは「チャンスだ」としか考えられなかったと振り返る。注目したのが、文化芸術鑑賞として小学校で公演を行う劇団の減少。子どもたちの想像力やコミュニケーション能力の育成を目的として文化庁が推進している文化芸術鑑賞に「マジックを組み合わせた演出で参入できないか」という発想からスタートした。
まず初めに、教員対象のアンケートをとることに。『授業の一環としての文化芸術鑑賞には何が必要なのか』を把握するため、約300人の先生の意見を集めた。中でも目立ったのが「子どもを飽きさせない、夢中になれる演出がほしい」という意見だった。1年生から6年生までが見る舞台だから、難しすぎる演出は不向きだ。それに加えて、教育として必要な学びを組み合わせるという、無理難題とも思える題材作りに取り掛かる。そこでタッグを組んだのが、学生時代からマジック仲間として交流のあった齋藤さん。マジックを使った舞台演出を得意とする齋藤さんと意見を交わし、2021年に名作文学とマジックを組み合わせた「おとぎと魔法の劇場」を完成させた。主題はルイス・キャロルの名作文学『不思議の国のアリス』。時には驚かせたり、時には笑わせたり、子どもを夢中にするユニークな演出が、これまでにない舞台として話題を集め、四国はもちろん、関西や中国地方の小学校でも上演。今まで15,000人の児童たちを魅了してきた。
「おとぎと魔法の劇場」がスタートして4年。未だに進化し続けているのも人気の理由のひとつ。毎公演ごとに演出家の齋藤さんによる厳しいチェックと意見交換で改良を繰り返し、ひとつとして同じ公演はない。昨年、新居浜市内のほとんどの小学校で上演したが、さらにアップデートを重ねた内容で8月10日、あかがねミュージアムにて上演される。今回は未就学児から大人まで、誰もが楽しめる舞台。『名作文学×マジック』の今までにないエンターテインメント、家族揃って観劇してみては?
おとぎと魔法の劇場
■日時 2025年8月10日(日) ①10:30〜 ②14:00〜 ③17:30〜
■場所 あかがねミュージアム
■料金 大人 1,100円 こども (大学生以下) 500円
乳幼児の膝上鑑賞無料 (席が必要な場合は有料) ※全席自由
■チケット取扱 あかがねミュージアム、ハートステーション各店
フリーペーパーHoo-JA! 2025年7月26日号 Vol.502 掲載