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2018.11.30

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広瀬宰平と伊予柑の木

広瀬 香織

広瀬宰平と伊予柑の木

新居浜に来て、不思議なご縁で広瀬に出会った私ですが、広瀬宰平(1828年6月16日(5月5日)~1914年1月31日 初代住友総理人)が新居浜を最後まで愛していたエピソードをお話させて頂きたいと思います。宰平は明治期に神戸の諏訪山や須磨に別邸を構えていましたが、住友を辞任(1894年11月)した後は、諏訪山の別邸を終の棲家としました。

 

宰平はそこに住むにあたって、新居浜の伊予柑の苗を持って来て、玄関先に植えました。伊予柑は宰平の手によって大切に育てられ、やがて大きく成長し、非常に多くの実を結びました。

宰平は子孫たちに新居浜での様々な思い出を語り聞かせつつ、皆で伊予柑を食べたそうです。私の舅の広瀬満泰(新居浜在住)もその伊予柑を沢山、食べて育った1人です。

 

(旧広瀬邸 亀池のほとりのもみじ)

このように宰平は引退後も毎日、伊予柑の木を見て、手入れして、またその実を皆で食べて新居浜を愛し続けたのでした。(また神戸の須磨の海岸を散策することを常とし、彼が深く関わった大阪商船が通る度に新居浜を懐かしんでいたそうです。)

伊予柑の木は、宰平がいかに最後まで新居浜を愛していたかを静かに物語る生き証人だったのです。こうした宰平の思いによって、今も子孫たちは新居浜が好きであり、私も新居浜に喜んで住み続けているのだと思います。

 

(市街地側から見た旧広瀬邸)

 

 

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