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市民インタビュー

大相撲から食の道で人を喜ばせたい

元幕下力士  琴乃秀 寿晃 ことのしゅう としあきさん

2023年1月に角界を引退し、地元新居浜に帰ってきた琴乃秀寿晃さん。15歳の時、佐渡ケ嶽部屋にスカウトされ、13年もの間、土俵に上がり続けた。相撲の世界では、物事の考え方から人生まで大きく激変したという。そんな相撲人生を振り返りつつ、これからの夢を語ってもらった。

15歳で大相撲の世界に飛び込み13年。2023年1月、相撲人生に幕を下ろした琴乃秀。

相撲人生のスタートは驚くべききっかけから。中学生の時、愛媛県出身の元関脇・玉春日関引退の断髪式に知人から招待をされ、父親と参加した。その場にいた大関・琴欧州に、突然父親が「息子を部屋に入門させるので、よろしくお願いします」と驚きの挨拶。断髪式後のパーティーで、すぐに佐渡ケ嶽親方からスカウトされた。当時、寿晃少年は身長180cm、体重110kgの体格を持っていたものの、相撲の経験はゼロ。運動は柔道しかしていなかった。しかし、「中学時代は勉強も苦手で、新居浜にいてもダメになる気がする」と一念発起。その場で入門を決め、中学の卒業式を待たずに上京した。

新居浜で育ってきた環境から一変、佐渡ケ嶽部屋での生活は、考えられないほど厳しい世界。毎日が先輩力士への配慮に配慮を重ねた生活の繰り返し。早朝から三番稽古。稽古が終わると食事やお風呂の準備。先輩の食事が終わってから、初めて自分たちが箸をつけられる。食事が終わればすぐに夕食の準備。食事のマナーは厳しいし、お風呂のお湯の温度がちょっと違うだけで、怒鳴られることもある。苦痛であったものの「それもまた経験」と振り返る。自由奔放に育ってきた新居浜時代。相撲部屋の生活では一切通用せず。だからこそ、自分の考えを貫き通すのではなく、相手の意見を聞いて、一歩下がって発言できるようになったりと「人に対しての接し方は本当に大きく変わった」と語る。

入門当時、たくさんの洗濯物を干しながら「親のありがたみを感じるね。頑張って上を目指そうぜ」と同期と話していた。ただ、お母さんは入門した直後から「連れて帰りたい」と新居浜で毎日泣いていたそう。

現役当時はケガに悩まされ続けてきた。幕下まで昇進した頃は一食で15合ほどのご飯を食べ、180kgまで体重を増やしていた。体重が増えると体幹は安定しやすいものの、ケガも増えてしまう。自分の体格や動きに合った、体重コントロールも必要となる。相撲の世界も一昔前から大きく変わり、精神的な鍛錬よりもスポーツ科学を取り入れた考え方に変わってきている。しかし、「応援してくれる地元の方や両親に、土俵の上で活躍している姿を見せたい」その一心でケガと戦いながら、土俵に立ち続けた。

厳しい世界だが、良いこともたくさんあった。15歳では食べられないような高級料理を招待で味わったり、巡業先では知人ができ、人脈も広がった。「おかげで相撲以外の世界にも触れられて、視野が広く、そして大きくなった」いろいろな繋がりができた中、引退した今は『食の道』に進もうとしている。「東京の美味しい店は、手が出せないほどの高級店ばかり。新居浜の実家の焼肉店のように、肉の香りが引き立つ備長炭でリーズナブルに提供してくれる店はない。だからこそ近い将来に、家業の味を東京に持っていきたい」と熱く語る。

現在は実家のお店で料理の修行中。「他にもやりたいことがたくさんありすぎて、これからの人生が楽しみです」と笑顔で語ってくれた。13年の相撲人生に悔いは無し。新たな土俵に上がり、勝負をかける。

 

フリーペーパーHoo-JA! 2023年3月25日号(VOL.446)掲載

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