子どもの感覚を育む「木のおもちゃ」の魅力

「木のおもちゃは子どもたちの『楽しい』、『○○をしたい』を育めるものだと思う」と語るのはワクリエ新居浜のキッズスタジオの木育推進担当の吉田さん。中学時代から保育の分野に興味を持ち、最初は保育園の栄養師として保育に携わっていた。そして自身の出産と子育てを経て、子育て広場のありがたさを実感。現在は木育を広めていく木育インストラクターとして活動している。ワクリエ新居浜には0〜3歳対象の『木育ひろば 木音（ころん）』と3歳以上を対象とした『キッズスタジオ』が併設。キッズスタジオは、大人も一緒に遊べる木のおもちゃが充実しており、おもちゃの数は県内でもトップクラスを誇る。

生活の中に木を積極的に取り入れる「ウッドスタート」を提唱している新居浜市。新生児の誕生祝い品として5カ月児健診時には、地産地消のオリジナル玩具（積み木）がプレゼントされるなど、木育に力を入れている。2019年にはワクリエ新居浜の前身・旧若宮小学校で、東京おもちゃ美術館主催の木育キャラバンを実施。約150点ほどのおもちゃに子どもも大人も熱中して、大好評のイベントとなった。「木育キャラバンでなくても、新居浜独自で開催したい」と、ワクリエ新居浜では開館時から木のおもちゃを充実させ、キッズスタジオでは今後もたくさんのイベントを企画している。

「木育とよく耳にするけれど、実際何にいいのか」と聞くと、「木を触ることで乳幼児の五感が育まれる」と吉田さん。数ある積み木は、木の品種によって異なる感触や重さなど、感じ方も人それぞれ。さらにスタジオに漂う木の匂いや積み重ねていく時の心地よい音。空間のすべてが子どもの感覚を育んでいく。実際、最初は走りまわって落ち着きがなかった子どもも、次第に座り込んで黙々と木のおもちゃで遊び始めたり、親御さんが一緒に夢中になって遊んでいたり…。「子どもだけではなくて、大人のリフレッシュにもなり、徐々に感情がほぐれて、帰る頃には笑顔になった親子連れが多いのが印象的」と話す。

中には大人では考えられなかった遊び方や、おもちゃの組み合わせを生み出す子どもたちの成長を見て、『子どもの可能性って無限だな』と、勉強させられることも。木育は五感への刺激だけでなく、想像力や集中力も育まれて、木のおもちゃはプラスチックのおもちゃやゲームとは一味違った良さを感じることが多いという。

「これからもキッズスタジオに、来館してくれる子どもたちとともに成長していきたい」

キッズスタジオでは木のおもちゃで遊べるフリースペースとしてだけでなはく、木のおもちゃのレンタルもあり、今後は大人向けのイベントも企画中。5月に開催の「木の時間」では、ワークショップや木製ジャングルジム作りなどイベントもたくさん。大人も子どもも木に触れてみて、その魅力を楽しんでみては。

フリーペーパーHoo-JA! 2023年5月13日号掲載