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市民インタビュー

次世代へ繋ぐ、「墨」の無限の可能性

水墨白樺会 名誉会長 西山 悦兆 にしやま えっちょう (新居浜市)さん

新居浜から始まった水墨画を楽しむサークル「水墨白樺会」。現在、賛助会員を含め30名の会員が、墨一色で思い思いの作品を描く。そんな会員の作品を、5月10日からあかがねミュージアムで開催される「水墨白樺会展」で見ることができる。白樺会の2代目会長で、現在名誉会長でもある西山悦兆さんに、国際的にも活動する白樺会について、そして水墨画の魅力について聞いた。

墨の濃淡で奥行きや迫力、そして美しさを表現する水墨画。その歴史は古く、紀元前200年頃の中国・漢の時代が発祥といわれ、日本に伝わり独特の文化として進化してきた画法である。白樺会は、日本画家・橋本関雪氏に師事し、独自の感性で水墨画家となった、西山さんの父、薦田義山氏が、昭和42年に立ち上げた水墨画のコミュニティサークルだ。

活動拠点だった広大な敷地のアトリエには、桜など様々な花が咲き誇り、その景色や草花を題材に水墨画を練習していた。そんな中で生まれ育った西山さん。幼い頃から絵を描く遊びが日常。水墨画を始めることは自然だった。

大学卒業後、高校の英語教師として教鞭を取っていた西山さん。
「教師の仕事は本当に楽しかった」と振り返る。しかし「人生一度きりだから…」と退職、父である薦田前会長の想いを引き継いで、水墨画家に転身。当時50歳だった。

西山さんの水墨画は、墨だけでなく紙の特徴を活かして表現する画法。水墨画といえば和紙だが、それ以外にも水彩画用紙や、日本画を描く屏風紙など紙の特性を研究し尽くし、表現する。

例えば、洋金箔押しの屏風紙にナイアガラの滝を描き、まるで金色の水しぶきが舞うように表現したり、水を弾く水彩画用紙の上に浮かせた水に墨を乗せ、自然の妙味に色の広がりを任せて柄を描いたり…。西山さんは『墨彩画』という墨と色を組み合わせる画法も学んできた。だからこそ墨一色でも、より敏感に色を表現することができるようになった。

墨の濃淡だけでない表現力が国内外で評価され、様々な展示会にも出展。他にも通信教育講座の指導者としても活動してきた。さらに、世界各国にいる日系移民の人たちとの交流会で海外へ飛ぶことも。墨一色で表現する日本独特の文化は世界でも注目されており「水墨画で国際交流ができたことが一番印象的だった」と振り返る。海外でみたナイアガラの滝や中国の朝焼けなど、感動した景色はすべて水墨画で残している。

白樺会の会員の高齢化が進む現在。原点に返って、身近な草花や景色を題材に描く。月に2度、船木公民館に集まり、みな黙々と自分の題材と向き合う練習会を開催している。昔、「英語を教えて欲しい」とやってきた中学生が、「おもしろそう」と、白樺会でも水墨画を始め、芸術系の学校へ進学、日本画家の道に進んだり、また『日本・中国水墨画合同展』の内閣総理大臣賞など、国内有数の賞を受賞する会員も増え、中には本格的に水墨画家として活躍する会員もいる。
「これからも若い人たちに水墨画の魅力を伝えたい」と西山さん。

5月10日からあかがねミュージアムで開催の『第37回水墨白樺会展』では、会員の作品が数多く並ぶ。古典的な作品から、水墨画とは思えない現代アートさながらの作品も。見た人しか感じることのできない水墨画の迫力。ぜひあかがねミュージアムで、水墨画ならではのエネルギーを肌で感じて欲しい。

3年後には創立60周年を迎える白樺会。西山さんは「60周年には若い会員も増え、若者たちも活躍するエネルギッシュな団体になってほしい」と、夢を語ってくれた。

第37回 水墨白樺会展 ※入場無料
■日程 5月10日(金)~5月19日(日)
■時間 9:30~17:00 ※最終日16:00まで
■会場 新居浜市美術館 (あかがねミュージアム 2階)

 

 

 

 

西山悦兆 「ヴェネチアの行方」 F30号

 

フリーペーパーHoo-JA! 2024年5月11日号(Vol.473)掲載

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